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美しきボサノヴァのミューズ/ナラ・レオン

どこまでもクールで、どこまでも美しく、どこまでも切ないアルバム。

ナラ・レオンはボサノヴァの歴史そのものの一人である。彼女の家でボサノヴァが生まれたといっても大きな間違いにはならない。

ブラジル国内の内政不安や軍事政権の台頭から、ナラは中産階級(かの国の中産階級は日本の上流階級に匹敵する)の音楽だったボサノヴァと訣別し、トロピカリズモに傾斜する。

このアルバムは、そういった変遷を経た彼女が自身のルーツであるボサノヴァに回帰した作品。ナラの歌い方は、ワンダ・ジ・サーやアストラッド・ジルベルトとはまったく異なる。というか、ボサノヴァの歌手のなかでは独自のスタンスだった。 さまざまな思いや過去を表に出さない唄法が、逆にその思いの深さ、陰影のある過去をくっきりと浮かび上がらせる。それはジャケット写真のようなモノクロームの画面であって、決してフルカラーではない。

女性ギタリストTUCA(ツーカ)のギターも素晴らしい。TUCAはフランソワーズ・アルディの「LA QUESTION(私の詩集)」でもアレンジとギターを担当し、そのアンニュイな名作に貢献している。

1988年、僕がまだFM岩手に勤めていた当時、ボサノヴァ30周年があった(1998年の40周年ほどは盛り上がらなかったが)。ボサノヴァを水で薄めたようなアルバムを日本のレコード会社がナラに出させ、けっこう売れた。その翌年、ナラは47歳で他界した。あのときの寂しさを、このアルバムを聴くたびに思いだしてしまう。

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コメント

はじめまして。(コメントだぶっていたらすみません)

私の記事を書く時にこちらも参考にさせていただきました。
ありがとうございました。
いいですねぇ、ナラさんの歌声。
 
 

投稿: Cacao | 2007年2月 1日 (木) 23時57分

Cacaoさん、わざわざありがとうございます。
ボサノヴァを「孤独な音楽」として表現したのは、このアルバムしかないでしょうね。

投稿: 斎藤純 | 2007年2月 2日 (金) 00時09分

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World-Brasil-MPB : ★★★★★ Os Meus Amigos Sao Um Barato ナラ・レオンの最も密な時期を回顧的に見ることの出来る作品。 ナラ・レオンが親しいミュージシャンと共演した1977年の作品。 1950年後半のブラジル経済の発展は中流階級の文化を生んだ。ボサノバ....... [続きを読む]

受信: 2005年9月26日 (月) 02時02分

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