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盛岡市文化振興事業団アドバイザー

 今日は少しおカタい話です。
 このたび盛岡市文化振興事業団のアドバイザーに就任しました(10月1日付け)。以下は岩手日報「風通信」に書いたコラムの一部です。文化施設あるいは文化行政についての私の考えを述べています。

 盛岡にはキャラホール、岩手県民会館、盛岡劇場、市民文化ホール(マリオス)などがある。作曲家で指揮者の外山雄三氏は「盛岡は恵まれていて羨ましい。仙台にも盛岡のようにホールがあったらなあ」とおっしゃっていたが、盛岡のほとんどの方は「恵まれている」とは思っていないようだ。残念なことに「無駄にホールが多い」とか「お役所的なやり方が目立ち、利用しにくい」という声もよく聞く。

 今、公共ホールなどの文化施設は独立採算制の導入や民営化、指定管理者制度の導入など大きな岐路に立たされている。効率化のみを尺度にする方策には反対だが、現状の見直しが必要なのは改めていうまでもない。文化施設とて決して「聖域」ではないのだ。私が何よりも恐れるのは、市民から文化施設が見放されることだ。

 ここで私は文化施設と書いているが、それは建物(ハード)を指すと同時にそれよりも文化施設の運営(ソフト)に重点を置いている。
かつて盛岡劇場は、充分な施設とはいえないにもかかわらず、市民との協働を先取りした運営に取り組み、全国の舞台監督のアンケート調査で「使いやすいホール全国二位」に選出されたことがある。また、キャラホールが参加育成型の音楽事業で注目されたこともあった。

  ところが、手間のかかる市民参加型の事業はどんどん減ってきている。クラシックの大物アーティストのコンサートは充実しており、音楽ファンとしては嬉しい限りだが、クラシックファンが育っているとはいえないし、育てようともしていない。
  演劇だろうと音楽だろうと地に足がついた市民の文化活動という底支えがなければ定着しないし、発展もありえない。このままでは大物アーティストを招いても空席が目立つようになり、そのうちクラシックコンサートなどは「採算が合わない」と切り捨てられるだろう。

 地域を機軸とした活動や、いわゆる教育普及活動を文化施設が怠れば、自ら文化施設を滅ぼすことになる。これらは、プロモーターが売り込んでくる大物アーティストのコンサートをひらくのと違って、智恵も手間もかかる。そういう意味でも、各文化施設の長は単なる施設管理責任者であってはならず、地域の文化振興に対する深い見識と実行力、そして市民が何を求めているのかを把握するために、市民に向かってひらかれた耳を持っていることが求められる。
 市では盛んに市民協働を訴え、着実に進めている。その点からいっても、文化事業ほど行政と市民が一体になって進めるのにうってつけのものはない(環境保護活動もそうなのだが、これについては機会を改める)。宝の持ち腐れなどと他都市の人たちから言われないような文化施設のあり方をみんなで考え、取り組んでいくシステムをつくっていくことが私たち住民の課題だ。

 盛岡はいいホールに恵まれていて、いい演奏家による音楽会もある。立派な美術館もある。私たちはそれらを享受するばかりでなく(あるいは与えてほしいと望むばかりでなく)、自ら文化を支え、育て、高めていく義務がある。この義務をまっとうしてこそ、公共の文化施設は初めて市民が誇れる共有財産となる。

 上記に関連して、盛岡タイムスに書いたコラムです。クリックすると読めます。

〈『芸術立国論』を読む〉
http://morioka-times.com/news/0406/24/04062406.htm
〈『イベント創造の時代 自治体と市民によるアートマネージメント』を読む〉
http://morioka-times.com/news/0412/21/0412106.htm
〈『イベント創造の時代 自治体と市民によるアートマネージメント』を読む・その2〉
http://morioka-times.com/news/0501/27/05012708.htm
〈『指定管理者制度』を読む〉
http://morioka-times.com/news/0502/22/0502312.htm

 さしあたっての課題は、文化施設が「まちづくり」や「活性化」のシンポルであることを認識し、どのようなビジョンをもって活動していくべきかをきちんと考え、表明すること。利用者の側に立った運営(ホールを貸してやる、ではなく、借りていただくという基本姿勢の徹底)だと思っています。市民からの声をひろいあげ、反映させていく努力も必要なのはいうまでもありません。

   

  これは無報酬ですが、だからといって肩書だけではなく、ちゃんと結果が見えるように努力していきたいと思っています。また、そのための就任依頼と受け止めています。他のアドバイザー(2名)は私など足もとにも及ばない、その道の専門家ですので心強いかぎりです。

 それにしても、ただ働きが増える一方です(笑)。今月は第9回みちのく国際ミステリー映画祭でもコキ使われます。

sign 岩手めんこいテレビ公式サイト

目と耳のライディング」連載中

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コメント

同感です。
盛岡ではかなりの頻度で良質のコンサートが開かれているのに、特定のクラシックファンだけが大喜びするだけで全然裾野が広がってないなぁと思っていました。
私はそれを享受しっぱなしで何もしていないので反省しきりです。「こんな凄いアーティストが来るなんてすごいんだよ盛岡は!」っていうことを言ってはいるんですが、もっと積極的にならないとダメですね。

投稿: logmorio | 2005年10月 3日 (月) 00時24分

ありがとうございます。
けっこう音楽を聴いている方でも、市民文化ホール(←こういうネーミングからもそろそろ脱却してほしいものですが)に入ったことがないという方がいらっしゃいます。もったいないというか何というか。

投稿: 本人 | 2005年10月 3日 (月) 07時51分

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