ソウル・アイズを聴く
1950年代から活躍し、名盤をたくさん出してきたアート・ファーマーだが、どれか一枚を選ぶことになったら、「ソウル・アイズ」を選ぶと思う。アート・ファーマーがジェフ・キーザー(p)、ケニー・デイヴィス(b)、ルイス・ナッシュ(d)という(当時の)若手名手を従えたカルテットで、素晴らしいライヴ演奏を聴かせる(録音はブルーノート福岡/91年5月)。 アートは1928年に生まれ、1999年にこの世を去ったから、本CDは晩年の作品ということになる。でも、そのプレイは充分に若々しい(もともと若いときから、涸れた味わいのあるプレイヤーだった)。
アートはハードバッパーの系譜なのだが、柔らかなダークトーンとあいまって、ムード音楽といってもいい名演も数多く残している。
もともとトランペットよりもフリューゲルホーン(トランペットより大きくて、柔らかな音が出る)をよく吹いていたが、このライヴではモネ製のフランペット(フリューゲルホーンとトランペットを合体させた特製楽器)を使って、独自のサウンドを出している。
私はフランペットを使うようになってからの(したがって90年代の)アートの演奏が好きだ(フリューゲルホーン時代は、音程の怪しい演奏があったし)。この人が吹くとメジャー(長調)の曲もマイナー(短調)に聴こえるようなところがあって、何とも言えず切ない。
本CDではジェフ・キーザーのピアノが光っている。
アートに関する有名なエピソードがある。50年代のことだ。自分の楽器を質屋に入れたマイルズ・デイヴィスが、「仕事が入ったのでトランペットを貸してくれ」とアートから貸りていく。マイルズは演奏後にそれも質に入れ、ヤクを買っていた。それでもアートはマイルズとの友情を持ち続けた。
そんな人柄が演奏からも感じられる。
それにしても、このCDを毎晩聴いていたのがつい昨日のように思えるのだが、もう10年以上も経っていることに愕然としてしまう。
| 固定リンク
「文化・芸術」カテゴリの記事
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 石神の丘から(2014.05.10)
- 旅の空から(2014.05.16)
- ヴァインベルクを聴きながら(2014.05.03)
- 健康診断(2014.04.28)
- 渋谷にて(2014.04.26)
「音楽」カテゴリの記事
- いただいてしまいました。(2006.11.18)
- この夏、よく聴いたCD(2006.09.08)
- 去りゆく夏の日に(アラン・コープランド・シンガーズを聴く)(2006.08.30)
- 三崎ともやすノンストップ60ライヴ(2006.07.18)
- 華麗なる古典舞踏(2006.05.25)
「ジャズ」カテゴリの記事
- 日々の糧(ジャズ編)(2014.04.23)
- マッキー(ジャズトランペット)を聴く(2014.04.15)
- 今年の初ボケール!(2014.01.10)
- 大人買い(2013.11.24)
- ブルーノートを聴く(2013.10.05)
この記事へのコメントは終了しました。


コメント