『こぐこぐ自転車』を読む
昨日に続いて自転車本の紹介です。
「年寄りの独り言を金出してまで読む気が知れない」と、ぼくの知人は言うのだが、そういうのが好きなんだからしようがない。
なにしろ、『ヘンリ・ライクロフトの手記』なんてのが愛読書なのだから。
老人というのは、偏屈か、ものわかりがいいかのどっちかだと思っていたら、古希をまたいで自転車に熱中しはじめたという著者はそのバランスが絶妙だ。毒もたっぷり含んでいるのだが、厭味がない。ユーモアという知性で包んでいるからだが、ま、要するに「人生の余裕」でもって書き上げた逸品ですね。
文章もまったく力みがなく、読みやすい。軽いけれど、決して軽薄ではない。タダモノではないな、と思ったら、なんと伊藤整のご子息なのだそうだ(この本ではそんなことはおくびにも出されていない)。
本書に出てくる多摩川サイクリングロードはぼくもずいぶん走ったので、懐かしく読んだ。また、著者が北海道のホテルで経験した自転車差別(自転車と自転車乗りを邪魔者扱いしがちで、高級車とそれに乗ってきた人を大事にする)はぼくも覚えがある。 著者はホテルの経営者にあたっている連中は想像力が貧弱だからと一刀両断だが、昨今想像力が貧弱な連中はホテル経営にとどまるまい。盛岡駅の西口に岩手県がつくった豪華な施設は、駅の東側から自転車で行くことすら困難なのだから。
あとがきに「こぐこぐ自転車」は〈岩手の「チャグチャグ馬こ」を連想させないでもないと書いていらっしゃる。この方、きっといい人に違いありません。
自転車のいいのは、目的地をピカピカ光らせてくれるところにある。汽車や自動車ではそんなふうにならないはこの本の白眉と言っていい名文だ。
そして、著者自身、自転車を相手に子供のように目を輝かせているのが何よりも素晴らしい。
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コメント
純さん、はじめまして。
私も「こぐこぐ自転車」読みました。
はじめは、馴染めなかった文章も、読み進んでいくうちにハマってしまいました。
気がついたら3回も読み返していました。
そして、さらに気がつくと、我家にDAHONとmiyata XLαが納車されていました(笑)
投稿: なお。 | 2006年5月19日 (金) 16時13分
なお。さん、どうも。
>我家にDAHONとmiyata XLαが納車されていました。
そ、それは凄い!!
実はジャイアントのドロップハンドルのモデルを狙っていたのですが、著者が買って後悔しているようなので……。
投稿: 本人 | 2006年5月19日 (金) 17時18分
初めまして、先日より自転車会議でお世話になってる者です。
偶然ですが、僕もこないだ本屋で「こぐこぐ」見つけてちょうど読んでいます。さらりとして、でも著者の方の心情が伝わって来るというか。
> 駅の東側から自転車で行くことすら困難
そうですね豪華な豪華なガラス張り。なんなんでしょう、バスや電車で来いと?有料駐車場を使えと?盛岡の公共工事って、どこかなにか抜けてるんですよね。
投稿: KAZE | 2006年5月19日 (金) 20時45分
KAZEさん、どうも。
おっしゃるとおりだと思います。
今どき、あの近未来的な建物そのものが時代遅れで、感覚の古さを丸出しにしていますよね。
もちろん、中身で勝負なのはわかっていますが。
それにしても、岩手県競馬の今後が問題になっている昨今、「またひとつ県民のお荷物が増えたのでは」という印象を拭えません。
岩手県立博物館(立地条件が悪く、交通アクセスも最悪)、盛岡競馬場(お金のかけすぎで分不相応)から何も学んでいない。
投稿: 本人 | 2006年5月19日 (金) 23時24分
実は、僕の郷里には、軽便鉄道の軌道跡を利用した自転車専用道路があるのです。平野ですから、僕の街、西大寺から岡山の後楽園まで、10kmの道のりを、のどかな田園地帯を通って行くことができます。あ、今は後楽園までは行けないのかな?
いずれにせよ、自転車専用道路が欲しい、と、盛岡駅西口の施設の一部の責任者になって痛感しています。責任者なので、会議に来いと、よく言われるのですが、車で行って会議をするたびに1000円を駐車料金に払うのは、家計に響いて泣けそうなのです。
僕は、跨線橋より地下道が好きです。
投稿: kajipa | 2006年5月20日 (土) 13時11分
kajipaさん,どうも。
つくってしまったからには、力を合わせて(協働ですな)使いやすい、県民に親しまれる施設にしていかないと本当に岩手競馬の二の舞いになります。
アイーナに入っている各団体(店子さんですね)で構成する協議会みたいなものはあるのでしょうか(マンション管理組合みたいな)。
問題意識を共有し、協力して改善していくと使いやすい施設になるのではないでしょうか。
たとえば、駐車場についても、店子さんたちが個別に動くよりも、そういう組織で交渉するほうがいいと思います。
投稿: 本人 | 2006年5月20日 (土) 14時18分