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篠崎 史紀著『ルフトパウゼ―ウィーンの風に吹かれて』を読む

ぼくはNHK交響楽団のファンだ。岩手にいるのでコンサートにはなかなか行けないが、NHK-FMが放送する定期公演の生中継はほぼ欠かさず聴いている。

N響は特にストリングセクションが秀逸だと思う。

が、クラシックファンにそう言うと、怪訝な顔をされることが少なくない。クセがなくて、面白くないというのだ。ぼくの好きなストリングセクションのことも「水の味はその土地によって違う。でも、N響の弦はまるで蒸留水のように味気がない」という。ぼくはその蒸留水のようなサウンドが好きなのに、評価というのは人によってこうも変わる。

本書はそのN響をひっぱるコンサートマスター(第一ヴァイオリンの一番前の手前にいる方、演奏の前後に指揮者と握手を交わす人ですね)篠崎 史紀氏が書かれた本だ。

ここで「N響をひっぱる」と書いたが、冒頭、著者によってこの見方はあっさり覆される。では、コンサートマスターの役割は何なのか。それは本書を手にとってご覧いただきたい。

N響でのコンマスの役割を紹介しつつ、同僚が読むことを充分に意識し、発奮を促している。本音を垣間見ることができ、面白い。

指揮者について書いているところも興味深く読んだ。しかし、責任の違いか(性格の違いか)、同じN響のヴァイオリニストによる「ヴァイオリニストは肩が凝る」ほどの思い切りのよさはない。だが、それはこの本全体のトーンなので、欠点というわけではない。

モーツァルトの音楽とウィーンでの暮らしを書いたIII、IV章は音楽書として再読、再々読に値する。

ホール運営者の見識のなさなど、これまで再三指摘されてきたことが本書でも触れられているが、残念ながら、そういうマズい公共ホール運営者は決してこの種の本を手にとらないだろう。

ところで、著者は音楽監督のアシュケナージ氏を高く評価しているが、もう他の方に代わるという噂がある。

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