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木村大ギターリサイタルを聴く

木村大ギターリサイタルを聴いてきた(26日午後7時、盛岡市民文化ホール大ホール←もうそろそろこの名前も変えてはどうかな。我々は通常、マリオスと呼んでいるのだから、マリオスホールと表記すればいいのに)。

大ホールは三階までいっぱいの大入り満員。なにしろ、今回はチケットが一律1000円という大サービス(木村大さんは昨年、宮城でも1000円コンサートの経験がある。「チケットの値段は、演奏する本人にはあまり関係がない」と。確かにその通りですよね)。

1200人を飲み込んだ大ホールに、木村大さんの弾くギターは、PAを通さずに響きわたった(響き具合を見て判断されたそうだが、ホールによってはPAを薄く通すこともあるらしい)。

「このホールは響きがいいですね」と、ご本人も満足げだった。

新譜「ロンドン・エッセイ」からの曲を中心にした演奏曲目もよかった。旧態依然としたクラシックギターのプログラムとは一線を画し、エルトン・ジョンの「ユア・ソング」を幕開けに、アンコールにアンドリュー・ヨークの「サンバースト」を持ってくるなど、いかにも新世代のギタリストらしいセレクションだった。

1000円コンサートということで、ふだんクラシックあるいはクラシックギターに馴染みのない方も多かったと思うが、もともとクラシックギターはボーダーレスな(独特の)世界なので、親しみやすかったのではないだろうか。

もっとも、親しみやすいからといって、音楽の質が軽いものだったことにはならない。たとえば、スタンリー・マイヤースの「カヴァティーナ」(映画『ディアハンター』で有名になった曲)は耳にやさしいが、弾き手にとってはかなり難曲のようだ。また、ジョン・デュアートの『イタリア組曲』、カルロ・ドメニコーニの『コユンババ』など10分を越える大作(ギター音楽の場合は大作扱いとなる)も聴き応えがあった。

曲の説明や音楽への思いなどを語るトークでも、大さんは聴衆をひきつけた。音楽家は音楽ですべてを語り尽くさなければならない、という説はもっともなのだが、天から与えられたコミュニケーションの手段を用いるのに遠慮することはない。当然ながら、身振りや表情だって「音楽表現」の手段になりえる。

変則チューニングの曲が多いので、「チューニングした弦が落ち着くまでの数分間をトークで埋めなければならない」ということだったが、お話の内容も語り口も演奏と同様に垢抜けていた。服装もかっこよかった(スタイリストがついているだろうか)。これらは、やはり、イギリスで学んだことが大きいと思う(プロとしてデビューしてから休業して留学した勇気にまず拍手を送りたい)。スペインや南米とは違う音楽性が感じられた。

ギターの音色がジョン・ウィリアムズに似ているような気がしたのだが、後でパンフレットを見たら、やはりジョンと同じグレッグ・スモールマンを使っていた。

このギターはハニカム構造の力木(内部の枠木)に、ひじょうに薄い板を貼ってある。これまでのクラシックギターとはまったく異質の斬新なものだ。反応がよく、音量が大きいのが特徴だそうだ。

盛大な拍手に応じて、アンコールを2曲弾いてくれた。そのとき、「14箇所をまわるツアーの4箇所目にして、このツアー最高のお客さんに巡り合えた」というスピーチで、また客席を沸かせた。

木村大さんからは「素晴らしいお客さんだ」と褒めていただいたが、それは大さんの演奏が聴衆をひきつけ、ノセた成果である。コンサートは聴衆と音楽家がひとつになってつくりあげる芸術空間であることを如実に物語る夜になった。

それにしても、いかにも子供子供した「天才少年」だった大さんが、好青年に成長しているのを目の当たりにして、「オレもそれだけ歳をとったってコトだよな」と、一抹の寂しさを感じた……(笑)。

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コメント

数ヶ月前から行きたいと思っていたのですが、残念ながら仕事でいけませんでした。
かなり盛り上がった様子がうかがえて、木村さんがまた来てくれるかなと期待したり。

投稿: ぼんず | 2006年9月27日 (水) 20時27分

何年か前に一度、いらしてるそうですね。そのときは隣の小ホールだったそうです。

きっとまたいらしてくれるでしょう。

投稿: 著者 | 2006年9月27日 (水) 21時52分

 斉藤さん、はじめまして、盛岡の会社員です。
 ときおりお邪魔しては楽しく拝見しております。
私も趣味でギターを弾きますが、やはりプロギタリストの正確で繊細なタッチは素晴らしいですね。なにかの番組で、あるギタリストが「音楽はピアニッシモが大切」と話していました。
強めのタッチが引き立つ繊細なピアニッシモが音楽の真髄ということらしいのです。こうしたコンサートを生で聴くとその意味がとても実感でき、有意義なひとときでした。
私も以前、ブログでカヴァティーナの記事をアップしていました、勝手ながらトラバさせていただきます♪

投稿: ルーシー | 2008年8月12日 (火) 23時40分

ルーシーさん改めショーンさん、ようこそ。充実したブログですね。絵もお上手!!

投稿: 斎藤純 | 2008年8月13日 (水) 08時34分

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