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アイルランド本を読む

司馬遼太郎著『街道をゆく 愛蘭土』のIとII合わせて、およそ10年ぶりに再読した。アイルランドに関してこちらの知識も増えていることと、年齢を重ねたせいもあって、前に読んだときよりいっそう面白く読めた。

司馬遼太郎の紀行文はいずれもそうだが、まず訪れる土地への愛がある。期待が外れたときは、正直にそのことを書く(ただし、うまくオブラートに包んで)。

アイルランドへの司馬遼太郎の愛は相当なものだ。その思いがしみじみと伝わってくる(オランダ紀行からも深い愛情を感じる)。

ところで、旺盛な知識欲と豊かな感受性の持ち主でありながら、しばしば音楽に弱いと吐露されている。意外な一面だが、どうも謙遜のような気がする。パブでの演奏の描写など、音楽が苦手とはとても思えない。

上記を多分に意識した(と著者本人が記している)高橋哲雄著『アイルランド歴史紀行は、数あるアイルランド本のなかでも出色の一冊だ。 なにしろ、話題が映画、文学、小説、酒、音楽と豊富だ。ツボにハマる話題ばかりで、大いに楽しみつつ、アイルランドについて学ぶことができた。

時系列に史実を並べた歴史書とは違って、こんにちとの関わりから話を進めていく手法がとられているので、とてもわかりやすい。 風土と民俗もよくまとめられている。余談の部類だが、理知的な合理主義者ホームズを生んだコナン・ドイルが子供だましの妖精写真にひっかかった背景など、「そうだったのか」と思わず声を上げてしまった。

ただ、残念なことに本書は現在入手できない。復刊するべき一冊だと思う。

近藤耕人著『アイルランド幻想紀行』は上記2タイトルとは大きく趣を異にする。アイルランドの歴史や風土について勉強しようという目的に本書はこたえてくれないかもしれないが、かの国の空気をよく伝えてくれる。ちょっと小説のような印象も受ける。読みながら山田稔著『コーマルタン界隈』を何度か連想した(決して似ているわけではないのだけれど)。

これらの本を読みながら、やはりぼくは頭のどこかで「アイルランドはヨーロッパの東北だ」と思いつづけている。

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