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『敬愛なるベートーヴェン』を観る

『敬愛なるベートーヴェン』を観た。第九の初演シーンが素晴らしい。このシーンだけでも、この映画は観る価値がある。

「第九誕生の陰に、女性写譜師あり」というフィクションだが、描かれているベートーヴェンはおおよそ史実にのっとっているそうだ。ベートーヴェンが使っている補聴器や集音器をそのひとつ。もっとも、第九を書いているころはもっと難聴が進んでいて、特製の補聴器(ラッパですね)も役に立たなかったという。

危篤状態のベートーヴェンのもとへ向かうヒロインが、ウィーンの自然と弦楽四重奏曲(大フーガ)の交感を経験するシーンや、ベートーヴェンの楽譜を「訂正する」出会いのシーンなど「音楽の本質」をついていて共鳴するが、第九の初演シーン以降は尻すぼみになっていく。

描かれているベートーヴェン像も、モーツァルトを思い切り下品に描いた『アマデウス』を見ていなければ驚かされたかもしれないし、新鮮に受け止めたかもしれないが、幸か不幸か我々はもうこれくらいのことでは動じない(ベートーヴェン役のエド・ハリスの熱演には大きな拍手を送りたい)。ちなみに、ベートーヴェンが用いている鍵盤楽器類は当時のものを再現しているが、流れる音楽は現代の演奏なので、注意が必要(昨今、当時の演奏を再現している指揮者や演奏家が珍しくない)。ただ、そんなことを言いはじめると、ベートーヴェンが英語をしゃべっているのも気持ちが悪い。

でも、くどいようだが、第九の初演シーンはフィクションに飾られているとはいえ、圧巻だし、感動的だ。監督はここだけ撮りたかったのではないか、と思うほど本当に力が入っていて説得力があった。

先月末、岩手県民オーケストラ定期公演で、素晴らしい第九を聴いたばかりなので、ことのほか感じ入ったのかもしれない。

それにしても、ヒドい邦題だ(原題は『COPING BEETHOVEN』)。こんなタイトルでお客に来てもらえると思っているのだろうか。

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