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パリジャンのエスプリ

岩手県立美術館で開催中のレイモン・サヴィニャック展は、観る人の年齢によってさまざまな印象を与えるような気がする。ぼくより年下の年代には、古さを感じさせない新鮮なものとしてサヴィニャックが受け入れられるだろう(ある意味でファインアートよりも普遍性を持っているかもしれない)。

ぼくは1960年代のパリをフランス映画で味わったにすぎないが、強烈な憧れがあった。サヴィニャックは映画で観たパリと、それに憧れていた当時の自分を思いださせる。
こんなことを言ってはパリの(あるいはフランスの)方々から叱られるかもしれないが、サヴィニャックが活躍した第二次大戦後から1960年代はパリが最期の輝きを放った時代だった。あの輝きが一枚のポスターでよみがえるのだ。
ついでながら現在のパリは、あのころの輝きのオマケで生き延びているような気がしている。たとえば、会場にはシトロエンCXも展示されていた(サヴィニャックは80年代にシトロエンの広告で復活した)が、シトロエンはやっぱりフィルムノワールで活躍したSMかDSに限るんだよね(これはあくまでもぼくの主観であって、客観的かつ正当な分析ではない)。

「歌は世につれ、世は歌につれ」という言葉があるように、「ポスターは世につれ、世はポスターにつれ」ということができる。もっとも、これはパリならではのことかもしれない。パリでは今もバス停や地下鉄の駅で、インパクトのあるポスターがわれわれの目を楽しませてくれる。それは、日本の「お知らせの壁紙」みたいなポスターとは根本的に異なる。

その意味で、パリのポスター文化を伝える工夫がほしかった。パリの街角の広告塔やバス停などの写真があってもいい(シトロエンを展示しているくらいなのだから)。図録がないのも残念だった。簡単な解説書くらい用意できなかったものだろうか。

サヴィニャックのポスターには、ときおりちょっと辛口の社会批評がひそんでいることがある。ほんわかしたユーモアとあわせて、それがパリジャンならではのエスプリというものなのだろう。

1階の企画展だけ観て帰られる方が少なくないそうだが、ぜひ2階にも足を運んでいただきたい。というのも、こどもわーくしょっぷ07伊勢克也「家について」が展示されているからだ。これは出色の出来だと思う。

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