ヒノテルを聴く
昨夜の一関ベイシーでの日野皓正クインテット・ライヴは、定刻7時より15分早くスタートした。
普通は定刻より遅くスタートするものだ。相撲で制限時間前に取り組みがはじまるより珍しい。
「もう始めちゃうの?」というマスターの菅原さんへのヒノテルさんの返事がふるっている。
「(ベイシーでのライヴだから)朝からムラムラしてたんだもの。早くヤラせてくれ」
場内大笑いの後、一転して緊張感あふれるステージへ。 そして、後半の終盤にコトは起こった。
ヒノテルさんが菅原さんをステージに呼び、ドラムスの和丸さんと交代させた。これはある程度予期していたことだ。
次に起こったことはまったく予想外のことだった。お店に常に置いてあるトランペットをヒノテルさんが菅原さんに渡したのである。
ここからが凄い。
菅原さんはしっかりと一緒に吹いたのである。
「何十年ぶりかで吹いたよ」
ステージから降りてきた菅原さんが苦笑した。
これには伏線があった。
ライヴがはじまる前にヒノテルさんはそのトランペットの手入れをした。動かなかったバルブが動くようになった、と菅原さんも嬉しそうだっ
た。キングのハリー・スィーツ・モデルというトランペットである。ちなみに菅原さんは一関一高時代は吹奏楽部でトランペットを吹いていた。
ヒノテルさんは菅原さんに吹かせるつもりで手入れをしておいたに違いない。
凄い一夜だった。
日野皓正クインテット
日野皓正(tp)/多田誠司(sax)/石井彰(pf)/金澤英明(b)/和丸(ds)
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