熊との遭遇
夏油駒形山に妻と登りはじめて1時間。谷側の笹藪からガサゴソと大きな音がした。風でも野鳥でもないことは、経験上、すぐにわかった。音の大きさからカモシカだろうと思った。
藪の中で真っ黒いものが動いていた。ツキノワグマに間違いなかった。
こちらに気がついたらしく、谷を登りはじめた。途中で立ち止まり、こちらをジッと見た。だいたい30メートルほどの距離だった。
私も妻も動かなかった。下手に動くとツキノワグマを刺激することになる。
「邪魔しないから、あっちに行きなさい!」
決して大声で叫ぶわけではなく、頼み込むように言った。
意が通じたのか、お尻をむけて藪のなかに消えていった。
頂上までまだ1時間半の道のりを残していたが、私と妻は下山した。
途中、三つのグループに会った。熊に遭遇したと写真を見せて教えた。二つのグループが下山した。
下の温泉宿の人に教えると、今年は目撃例が多いと言っていた。一頭、射殺したとも。
私は『夜の森番たち』を書くときにツキノワグマに関して勉強した。疎遠にはなっているが、ツキノワグマの保護活動をしている人たちともそれ以来の付き合いだ。
ひととおりの知識は持っているつもりだが、しかし、実際に野生のツキノワグマと出会ったのは初めてのことだ。落ち着いて対応できたと思っているが、怖かった。即座に下山を決断したことがそれを物語っている。
怖いながら、ツキノワグマの外観について、とても毛並みがよく、色艶もよくて、「野生とは思えないな」と観察していた。体長1.5mくらいだろうか。きりりとした顔つきだった。
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コメント
貴重な経験でしたね。奥様から登山の計画をお聞きしていましたのでブログを見ていたのですが、まさか熊にまで会いに行っていたとは・・・とにかくすぐ下山してお帰りの様子安心いたしました。小生は本日も出勤、明日もつなぎのロードレースのため仕事です。午後に箱が森にでも行こうかと思っています。
投稿: haru900 | 2009年9月22日 (火) 18時59分
haru900さん>雨のロードレースになりましたね。おつかれさまです。
投稿: 斎藤純 | 2009年9月23日 (水) 11時29分
ご無事で何よりでした。
年に数回、熊との遭遇を聞く吉野熊野国立公園の大台ヶ原という山に入っていますが、まだ遭遇したことはありません。
そこで、不躾ながらお教え戴きたいのですが、俗に、出合ったら熊の方を見ながらゆっくり後ろに下がれと聞きますが、斉藤様ご夫妻のようにじっと動かないのと、どちらが良いのでしょうか。
勿論、同じ道で出会い頭に会った場合と、道をはずれた近くで会った場合とケースバイケースで、決定版はないとは思いますが、お教え戴ければ幸いです。
投稿: 田村 義彦 | 2009年9月24日 (木) 14時10分
田村義彦さま
お尋ねの件ですが、急激な動きは熊を刺激するので、動かないか、ゆっくりと逃げるのがいいらしいです。
大台ケ原では大きな鹿を見たことがあります。
投稿: 斎藤純 | 2009年9月24日 (木) 14時18分