近年読んだ本の中で、これほどワクワクさせてくれたものはない。
著者はコピーライターで、プロパーの環境運動家ではない。我々に最も近い立場の方が書いた、環境読本である。したがって、とても読みやすく(コピーライターは「たくさんの人に読んでもらう」文章修行を積んでいる)、説教臭くなく、どこかお洒落で(これが大切だ)、しかも内容は濃く、本物だ。
著者自身の言葉を借りるならエコシフトとは〈人類の生き残りをかけて、人々の認識を変え、社会のしくみや政事のしくみやメディアのしくみを変え、経済のしくみを変えること〉をいう。
著者が関わったさまざまな事例が挙げられているが、「意思表示する→世論を動かす→政策を動かす」という狙いが一貫している。巷間にぎわせたホワイトバンドに対する批判も、この本を読めば、いかに的外れだったかがよくわかる。
ぼくは『オートバイ・ライフ』の中で、オートバイ乗りが意識すべき環境問題についてページを割いた。そこで言いたかったのは、「自分に不都合な情報に目をそむけてはならない」ということだった(これはゴア元副大統領の映画『不都合な真実』というタイトルとも一致する)。
『100万人のキャンドルナイト』を立ち上げるときのようすも書かれている。ぼくは2003年(つまり、第一回)から盛岡のキャンドルナイト実行委員会をつとめてきたので、著者とはどこかでつながっていたことになる。本書にも登場する辻信一さんは一昨年の冬のキャンドルナイトにゲストとしてお招きしている。
キャンドルナイトのシンボルマークをつくったのが葛西薫さんだったということも本書で知った。ぼくの『夜の森番たち
』の装丁をしてくださった方だ。ここでもつながっていた。
ぼくが著者から受け取った最大のメッセージは〈政治は嫌だからといって、お休みできるものではありません。政治をお休みすると、それはほかの人への委任になって、そしてそれはたいてい一番嫌な人への委任になってしまい、ますます嫌だなあという方向へひっぱられていきます。それはもうその時点で「裏切られても文句が言えない」ということになります〉という「あとがき」の言葉だ。
2003年、夏。市民団体に推されて、ぼくは市長選に出馬した。そのとき、市政に対する自分の考えと同じくらい強く「投票に行ってください。ぼくに市政をまかせるわけにはいかないという方もその声をちゃんと反映させるために投票所に足を運んでください」とアピールした。一人でも多くの方に政治に参加してもらいたいと思ったからだ。
で、あちこちから「今年はどうするのか」と尋ねられるので、この際、はっきり申し上げておきたい(すでに岩手日報の取材に「出る意志はない」と応え、記事にもなっているのに)。
現在、ぼくは盛岡市行財政構造改革推進委員として、微力ながら市政のお手伝いをしている。所属する文化地層研究会では「まちづくり」を含めた「おもしろい盛岡」を掘り起こす活動をおこなっている。また、盛岡自転車会議の代表として、中心市街地活性化などの「まちづくり」を視野に入れた交通問題に、他の市民団体や岩手大学、岩手県立大学などと共同して取り組んでいる。
今年はこれらの活動をさらに充実させていきたいと思っている。だから、選挙ではこれらの取り組みを理解し、応援してくださる方の裏方としてバックアップしていくつもりだ。
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